「蘇州夜曲」のできるまで。 後編
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さて、柳を描きます。
惜しむか柳がすすり泣くという事で、柳には登場してもらわねばなりません。

例によって枝葉パーツですが、

こういったモノを四つほど作りました。

木自体はあっさりとした形にして、重なり具合を見ながら枝を垂らしてゆきます。

五本並べました。
反転流用はやめましょうと言っておきながら、明らかにやっていますね。
あとでちょっと枝を動かしたりしてごまかしましょう。
大体ここは前景が重なってくるからいいのです。
そんな勝手な。

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向こう岸を作っていきます。

気がついたのですが私、ここでは描きますと言うより作りますという言い方が多いですね。
Illustratorで作業をしていると、絵を描いている感というものがあまり無いのかも知れません。

両岸と同じように作ります。

草を生やしましたが、これはちょっと並びすぎているので、後でばらしましょう。

奥にある木立です、これはもう柳の背景ですからシンプルにとどめます。

こういったモノを作って。木の葉ですよ。

枝に付けていきます。

こんな感じで。

前の柳との関係で色と形を調整。

もう一段重ねてさらに奥行きを。
夜空の色を入れて様子を見ます。
宵のおぼろ月、薄暮より少し遅い時間ぐらいでしょうか。

柳が明るすぎですが、もう少し全体が出来てから案配しましょう。

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鐘が鳴ります寒山寺です。
塔と御堂のようなものを作ります。

実際の寒山寺の塔を参考にはしましたが、正確である必要などありません。
雰囲気です。

正面図みたいになりましたが、配置する時にちょっと変形しましょう。

奥の木立は下にも作って隙間を埋めました。
同時に塔の下の方を隠します。
柳の彩度を落として、塔も全体に暗くしました。

涙ぐむよなおぼろの月に
厚めの三日月を選択、特に理由はないです、いやあります。
満月では明朗に過ぎる、細い三日月では寒々しい感じがします。
春の宵に涙ぐむ感には、これくらいの月がよいのでは。
いかがですか?
まわりにぼかしをかけて、夜空は月を中心の丸グラデーションにしました。

ところでお気づきでしょうが、ここで赤い文字になっている所は歌詞の一部ということです。
この方法を使って「二人でいれば」の歌詞を紹介してしまう策を思いつきましたぞ。

ではこれまでに出来たモノを合わせてみましょう。

水の色を仮に入れておきました。
いつのまにか女の人が髪飾りをつけています。

あと一息ですね。

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水面の映り込みを入れましょう。

水の色は仮にと言いましたが、いい色なのでこのまま使う事にします。
こういう事はよくあるでしょ。

基本的に影はそれぞれの形のままですが、少し変形させてあるものもあります。
アウトライン化して逆さまにして色を調整します。
濃淡を付けて映り込みにも奥行きを持たせたいと思いました。

水面的な揺れを付ける予定でしたが、無い方がすっきりしていいかな、ということで、揺れは無しにします。

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最前面に入れる柳の枝を作りましょう。

葉の形は七つか八つぐらいです、それをバラバラに並べました。

入れてみました。

この柳の葉には軽いグラデーションを葉ごとにかけました。

ところで終盤に差し掛かってソフトが止まったり、ハードごと落ちたりするようになっています。
このあたりがスペック的な限界なのかもしれません。

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さてそんななか、

今更ながら下の方が寂しいなと思い、新たに桃の枝を作り。

足してみました。

あと花を浮かべて流しました。
花を浮かべて流れる水の、です。
明日の行方は知らねども、です。
今宵映した二人の姿、は尺が足りませんでした。

ということで、諸々の微修正をいたしまして、これで完成とします。

蘇州夜曲

今回は8.9Mでした。

ごくろうさまでした、わし。

 

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